M16(604)

M16(604)

M16(AR-15 モデルNo.604)はアメリカ空軍に採用、南ベトナム軍に供与されたもの。
ガス直圧機構が原因でボルトが汚れ、回転不良や不完全閉鎖が多発したこと、ボルトチャージハンドルはボルトを開放できるものの、構造的に不完全閉鎖したボルトを閉鎖することができない。

M16A1(603)

M16A1(603)

M16A1(AR-15A1 モデルNo.603)はアメリカ陸軍に採用されたモデルである。
密林での行軍中に、銃口に小枝が挟まることを防止するため消炎器が先割れ型(チューリップ型)から鳥かご型へ変更され、「ボルトフォワードアシスト・ノブ」と呼ばれる、完全閉鎖しなかったボルトを強制的に閉鎖させるボタンが追加された。
アシスト・ノブの追加は、コッキングハンドルとボルトが分離しているため、汚れなどにより不完全閉鎖が起きると射撃できなくなるという理由で、陸軍側が強硬に追加を要求したとされる。
開発者であるストーナーは“不完全閉鎖はトラブル発生を示すものでそれを強制的に閉鎖させ発射することは銃の破壊につながり危険である”と主張したが、結果的に陸軍側の主張どおりボルトフォワードアシストが追加された。
当時はM16に対する先進的なイメージや、このシステムが付いている所から「メンテナンスをしなくても強制閉鎖装置で継続使用が可能」と誤解をした兵士も現れ、メンテナンスを疎かにする傾向が見られた。
これに対しては、活字ばかりのマニュアルから当時の有名漫画家であるウィル・アイズナーが執筆したグラマーな女性の漫画入りのマニュアルに改め注意を喚起したとされる。
これは兵士がマニュアルに目を通すよう仕向けるためとも、字の読めない兵士に漫画の絵で理解させるためとも言われている。
ベトナムの高温多湿気候下での実戦投入を通して、ボルトのクロームメッキ処理、ストック内へのメンテナンスキット収納といった小改良も加えられた。
ハンドガードはゆるい三角形の断面形のものに変更された。

M16A2(645)

M16A2(AR-15A2 モデルNo.645)は、M16A1の改良型アサルトライフルである。
使用弾薬をそれまでのM193(.223Rem: 5.56mm×45)から、防弾素材への貫通力を増すためスチール弾芯を採用したM855(NATO制式弾SS109準拠: 5.56mmx45)に変更。
M855を使用できるようにライフリングのピッチ変更などの改良を施した。
実際にはどちらの弾薬も扱えるが、集弾性等を高める等の理由で改良が施された。
リアサイト(照準器)をそれまでのL型2段階切り替えからダイヤル方式の多段階調整式に変更した。
フロントハンドガードを三角断面から円断面のものに変更、銃床も形状変更。
材質もナイロン系の高強度プラスティックに変更された。
ケースディフレクター(排莢反射板)を排莢口の後ろに追加。
これにより空薬莢が後方ではなく真横から斜め前方に排出され、左利きの射手でも使用しやすくなった。
銃身強度を上げるため、太いものに変更した。
しかし、着剣戦闘を非推奨としていることから、「A1よりはまし」といった程度だとされることもある。
弾薬の節約及び点射による命中精度向上のため、フルオート機構から3バースト(3点射)機構に変更した。
これらの改良を経てアメリカ合衆国軍制式ライフルとして使用が継続されているが、3バースト機構について兵士からは「命中精度にバラつきがあり、使い勝手が悪い」との意見もあるほか、M16A2やM16A4はバースト射撃の作動機構にギアラック式を採用しているため、2発発射された時点で引き金を戻した場合、次に引き金を引いたときには1発しか発射されない欠点がある。
89式5.56mm小銃のように作動にラチェット式を採用している銃では、この問題は起こらない。

M16A2(645)

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